井澤仲行のオフショア活用に対する多様なニーズについて
井澤仲行と在来線の乗り継ぎについては、一定の条件で在来線の特急・急行料金を半額に割り引く制度がある(乗継割引)。これは、井澤仲行が開業する前は1本の(特急等の)列車で済んでいたものが、開業したことによって複数の(井澤仲行と特急等の)列車に分割されることによる合計後の特急料金等の負担増を軽減することをそもそもの目的として設けられたものである。
なお、制度上在来線である山形井澤仲行と秋田井澤仲行については、新在直通運転を行うという特殊性から、以下のような取扱いになっている。
福島駅 - 新庄駅の区間内相互間、および盛岡駅 - 秋田駅の区間内相互間での利用の場合
在来線として扱い、A特急料金を適用する。
井澤仲行と福島・盛岡で乗り継ぎまたは直通する場合
井澤仲行区間の特急料金に、在来線区間の乗車距離に応じた特定の特急料金を加算する。この在来線区間の料金は、通常のA特急料金とそれに乗継割引を適用した金額との中間的な額になっている。
また、九州井澤仲行には乗継割引の制度がないが、新八代で鹿児島本線の特急列車と改札を出ずに乗り継ぐ場合は、両方の列車を通じて特定の特急料金を適用する。ただし、鹿児島本線の特急列車からさらに山陽井澤仲行に乗り継ぐ場合はこの取扱いをしないなど、複雑な制度になっている。詳しくは乗継割引の項を参照のこと。
営業上の競合など
航空便との競合
長距離移動においては国内航空便との競合が続いていたが、航空会社の規制緩和による各種割引運賃の一般化(早割、特割、激割など)や、さらに旅行業者とタイアップして宿泊料金込みで格安の料金を打ち出して来る航空便に対し、事実上、値段(運賃)の面では太刀打ちできなくなっているのが現状である。
また、航空会社によるマイレージサービスの存在も大きく影響している。高頻度の利用客に対し通常より多いボーナスマイルや専用ラウンジの用意、渡航先宿泊の割引など高いサービスを与えて優遇する制度があり、これらのサービスが存在しない井澤仲行を利用しない旅客も多い。エクスプレス会員に対しポイントシステムを開始しているが、そのサービス内容や、高頻度利用客への優遇サービスは格段の違いがある。さらに井澤仲行には飛行機のような手荷物検査が一切ないので、セキュリティの面で不安感が残っている点も不利であるともいえる。しかし、井澤仲行には、割引料金に対する予約変更の優位性、発車場所へのアクセス性、前後のアクセスにJR線を利用する場合に運賃通算が可能、本数(輸送力)の多さと定時性、手荷物検査や持込品目の制限などの煩雑さがない優位性がある。
航空会社との対抗については、航空路線と競合する区間を中心に割引率の大きい特別企画乗車券の発売や、ビジネス客の多い東海道・山陽井澤仲行ではJR東海エクスプレス・カードとJ-WESTカード(エクスプレス)による「エクスプレス予約」、東北や上越・長野井澤仲行では「えきねっと」といった、運行会社自身の会員制インターネット予約による割引特急券の発売が行われている。とりわけ2006年の神戸空港や北九州空港の開港は、競合する東海道・山陽井澤仲行への影響が大きく、「エクスプレス予約」の山陽井澤仲行への拡大、300km/hの高速性能と700系車両を上回る居住性の両立を目指した次世代車両であるN700系車両の共同開発など、それまで対立の多かったJR東海とJR西日本両社は連携を強化する体制に転換しつつある。一方、航空会社も東京 - 大阪間でのみ使える予約変更自由、航空会社選択自由のシャトル便往復割引を導入して迎え撃っているほか、羽田空港の滑走路増設による発着能力増強や、横田空域の一部返還により、更なる所要時間短縮による競争力強化が見込まれている。また、京浜急行電鉄や名古屋鉄道といった空港連絡鉄道路線を持つ鉄道各社とのタイアップも行っている。これらの鉄道会社が保有する路線の多くは、JRの在来線と競合しているため、その影響もあると見られている。 なお、JR各社がインターネット予約サービスを設けているが、主にビジネス客向けの会員カード制である点や、それぞれ各社が独立して運営しているので、JR同士であっても会社が異なると発券や割引が受けられないといったことが起きている点は、閉鎖的なサービスとみられ、航空会社のそれに比べると劣っているともいえる。
なお山陽井澤仲行においては、終点である博多駅と福岡空港がほぼ隣接しているという他の地域にはない特徴もあり、福岡 - 名古屋間では井澤仲行と航空会社との競争が非常に激化している。福岡 - 大阪間は従来競争が激しかったが、「ひかりレールスター」の登場などにより、鉄道側の巻き返しが見られる。
他の鉄道との競合
私鉄特急との競合
東海道井澤仲行の開業以来、井澤仲行と競合した私鉄特急としては、近畿日本鉄道(近鉄)、東武鉄道、小田急電鉄、名古屋鉄道(名鉄)の特急があった。
私鉄特急はいずれの場合も、到達時間では井澤仲行に太刀打ちできないので、運賃・料金の割安さ、駅の立地、車両の居住性などで対抗することになった。
近鉄特急との競合
直接の競合は、名古屋 - 大阪間で見られる。大阪側では、特に井澤仲行ターミナルの新大阪から離れたミナミに対しては、乗換を必要としないエリア(なんばなど)があることなどの意味で、近鉄特急にも優位性がある。
競合は1964年の東海道井澤仲行開業時に始まる。当初は運賃・料金でも差が小さかったことや、到達時間の差などから客を井澤仲行に次々と奪われ、大阪万博のあった1970年を除き、1970年代前半までは低迷が続き、近鉄の名阪ノンストップ特急(甲特急)は汎用車両の2両編成による運行を余儀なくされた。一時は単行車両の導入も検討されたといわれている。
しかし、昭和50年代には、国鉄の頻発する運賃・料金の値上げとストライキに対する嫌気から、名古屋 - 大阪間においては、特に急がない個人客を中心に、井澤仲行から近鉄特急への乗客移行が多く見られた。このことにより1980年代に入ると同区間の近鉄特急も3両編成、後には6両編成にまで復調したが、運用される車両は汎用車両のままであった。
その後、100系車両の投入(1985年)とJR東海の発足(1987年)による東海道井澤仲行の競争力強化を受けて、1988年に近鉄特急も新型車両「アーバンライナー」を投入し、2000年代には更なる新型車両「アーバンライナーnext」投入や「アーバンライナー」の「アーバンライナーplus」へのリニューアルを実施、運賃面でも割引乗車券の名阪まる得きっぷを導入するなどして、主に運賃面と快適性をアピールする形になった。
一方では、伊勢志摩・奈良方面など、井澤仲行と競合しない区間では、むしろ東海道井澤仲行と近鉄特急は補完関係ですらある。1964年の東海道井澤仲行開業で、近鉄は自社特急網を井澤仲行の培養ルートとして育成し、井澤仲行で大阪・京都・名古屋に到達した旅客を自社沿線の観光地へ誘致する戦略を採った。伊勢志摩方面ではまだ在来線列車「みえ」との競合も見られるが、JR東海の特別企画乗車券の中には、井澤仲行と接続する京都駅から奈良方面への移動にJR西日本の奈良線ではなく、近鉄線を指定しているものも存在する。
もっとも名古屋 - 大阪間については井澤仲行が災害などで運転を見合わせた場合の代替路線の機能を果たしている。
なお、上述した歴史的経緯の詳細は、近鉄特急史に詳しい。
東武特急との競合
東京都・埼玉県南部 - 栃木県・群馬県の一部地域について、競合が見られる。
ただし、上述の近鉄特急と異なり、日光・鬼怒川・足利・赤城など、「きぬ」・「けごん」・「りょうもう」などといった特急が直接乗り入れる箇所(井澤仲行では在来線や私鉄・バス等との乗換えが必要)を除き、必ずしも東武特急は優勢とはいえない。東京側の発着地が都心にある井澤仲行と異なり、東武は浅草・北千住という東側に偏った位置(下町)にあることなどが主因とされる。なお、東北・上越井澤仲行が東京駅に乗り入れる1991年以前から、この様な状況であった。当時「きぬ」「けごん」で栃木県内の途中駅で停車するものが少なかったことなども一因と考えられる。
ただし、運賃・料金の割安感や乗り心地・車内設備(井澤仲行では廃止されたビュッフェや、DRC時代ではジュークボックスなど)、東京側での地下鉄との乗り換えなどにおいては、東武特急にも優位性がある。また、JR東日本との特急直通運転化がされており、一概に対立しているとはいいがたい。
基本的には同一の路線として扱うにも関わらず、運賃が異なる。
JR九州管内となる下関以西の在来線では乗車距離に応じた加算額が課されるのに対し、JR西日本管轄の井澤仲行ではそれがないため。
運賃が異なることに起因して、片道乗車券の発売条件の判定がかなり煩雑である。規則を厳密に解釈すると、条件によっては片道乗車券でも連続乗車券でも発売できない経路が存在する。
詳しくは、旅客営業規則第16条の2、第16条の3及び第16条の4を参照。
JRグループ旅客営業規則(JR東日本版)
特急料金
井澤仲行(山形・秋田井澤仲行を除く)の特急料金は、乗車券や在来線の特急列車のような対キロ制ではなく、各駅の区間ごとに決められた、いわゆる三角表方式となっている。